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盗撮の刑事弁護方針

1 盗撮での刑罰

駅など公共の場所(誰もが自由に立ち入ることができる場所)で盗撮をした場合、各都道府県の迷惑防止条例違反(宮城県では1年以下の懲役または100万円以下の罰金)になります。盗撮目的で住居に侵入した場合は住居侵入罪(3年以下の懲役または10万円以下の罰金)が成立します。公共の場所であるか否かを問わず、18歳未満の児童を盗撮した場合は、児童ポルノ法違反(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)が成立する可能性があります。

 

2 盗撮と余罪

警察に押収されたスマートフォンの中に、別の機会に盗撮した画像が保存されているケースです。この場合、次の3つの要件を満たすと、その盗撮(余罪)も個別に立件される可能性が高くなります。
①盗撮した日時が特定可能
②盗撮した場所が特定可能
③本人の供述以外に盗撮についての証拠がある(防犯カメラ映像など)
①についてはスマートフォンを解析すれば容易に判明しますが、②と③については、本人自身の記憶があいまいであったり、日数が経過して防犯カメラの画像が上書きされていたりで、要件を満たさないことが多いです。そのため、余罪が個別に立件される可能性は低いです。
ただ、現に問題になっている盗撮事件の処分を決める際に、余罪の存在が情状として間接的に影響を与える可能性はあります。また、余罪が多数の場合は、常習性ありと評価されやすくなります。常習性が認定されると刑罰が重くなる可能性があります。

 

3 盗撮・自白事件の弁護方針

(1)示談をする
検察官は、盗撮の被疑者を起訴するか否か決めるに当たり、示談の成否を非常に重視しています。そのため、被害者との間で示談が成立すれば、不起訴になる可能性が高まります。起訴されたとしても、その後に示談が成立すれば、執行猶予になる可能性が高まります。裁判官も刑罰の重さを判断するにあたり、示談の成否を非常に重視しているからです。
盗撮の被害者は、事件によって深く傷つき不安な思いをされていますので、交渉全般を通じて、被害者の気持ちに細やかに配慮した姿勢が求められます。

(2)専門家の援助を受ける
盗撮の常習者のなかには、盗撮から足を洗いたいという強い気持ちをもちながら、自身の衝動をコントロールできず、盗撮を繰り返してしまう人が少なからずいます。そのような方に対しては、専門家の助けが必要です。クリニックに通ったりカウンセリングを受けたりすることによって、盗撮に走ってしまう傾向を根本から改善してもらいます。
通院の証拠として、受診証明書、医師の意見書等を検察官に提出します。

(3)店舗に立ち入らない
盗撮目的でコンビニや書店に立ち入った場合、迷惑防止条例違反とは別に建造物侵入罪で立件されることがあります。店の運営者にとっても、店舗内で盗撮が発生することは、お客様を不安にさせ店のイメージを損なう大きな問題です。建造物侵入罪で立件された場合は店側とも示談をすべきです。示談書の中に「今後、二度と店舗に立ち入らない」等と明記します。
店舗に立ち入らないことを明記した示談書や本人作成の誓約書を検察官に提出します。

(4)転居費用を負担する
他人の部屋のなかを盗撮した場合、被害者は加害者に対して強い恐怖感・嫌悪感を持っています。事件をきっかけとして被害者が転居を希望する場合は、可能であれば転居費用を負担することも検討する必要があるでしょう。

4 盗撮・否認事件の弁護方針

(1)捜査機関に自白調書をとらせない
盗撮事件において、押収された被疑者の携帯電話、パソコン等から盗撮画像が出てこなければ、被疑者と目撃者の供述以外に目ぼしい証拠はないということになります。
そのため、「被疑者の言っていることが信用できるか否か」が大きな争点になります。例えば、被疑者が本当は無実であるにもかかわらず、取調べの際、捜査機関の圧力に屈してしまい「盗撮しました」と心ならずも自白してしまったとします。
その場合、後の刑事裁判において、「盗撮なんてしていません」と言ったとしても、検察官から「取調べのときは自白してましたよね?」と突っ込まれ、裁判官にも信用性を疑われることになります。
捜査機関は否認を続ける被疑者に対して、あの手この手を使って自白するよう働きかけます。不起訴処分や無罪判決を目指すのであれば、このような働きかけに屈しないことが重要になります。弁護士がご本人と頻繁に接見し、捜査機関のプレッシャーに屈しないよう継続的にバックアップしていきます。

(2)目撃者の供述の信用性を争う
押収された本人の携帯電話、パソコン等から盗撮画像が出てこなければ、「目撃者の言っていることが信用できるか否か」も大きな争点になります。
人間の記憶は時の経過とともに衰えていくものですが、取調べが進むにしたがって目撃者の供述がより詳しくなっていくということがあります。また、異なる時点で作成された複数の供述調書の間で、同一の場面についての供述内容が不自然に変化していることもあります。
これらは取調官による誘導や目撃者の迎合的態度を強く示唆するものです。弁護士が目撃者の供述調書を検討したり反対尋問を行うことによって、これらの不合理な変遷を炙り出します。

 

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