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業務上横領の場合の刑事弁護方針

1 業務上横領で逮捕されやすいケース
大企業や官公庁の場合は、コンプライアンス上、職員の不祥事には厳正に対処することが求められますので、被害届を提出され、逮捕される可能性が十分にあります。
中小企業の場合は、経営者の意思によるところが大きいですが、本人が逮捕されても、被害金額を回収できるわけではないことから、交渉次第で刑事事件になることを回避できる場合が多いです。刑事事件にならなければ逮捕されることはありません。

業務上横領で逮捕・勾留された場合、他の犯罪に比べ、取調べの回数が格段に多くなります。余罪も含め逮捕後ほぼ毎日、長時間の取調べが行われることも少なくありません。行き過ぎた取調べがないよう弁護士が目を光らせる必要があります。

2 再逮捕・再勾留について

業務上横領は1回きりではなく、反復・継続して行われることが多い犯罪です。業務上横領の時効期間は7年ですが、捜査機関としては、時効期間内の多数の横領をひとまとめにして逮捕することは通常ありません。まず、証拠関係の明白な一部の事件で逮捕し、余罪については、再逮捕や追起訴(同一の被告人に対してある事件で起訴した後に別の事件で起訴すること)という形で進めることが多いです。保釈請求は、再逮捕がないということを確認した上で行うことになります。

3 刑事裁判の場合

着服金額が数百万円にのぼる業務上横領の場合、示談が成立しなければ、初犯であっても起訴され実刑となる可能性が高いです。逆に示談が成立すれば、複数の前科があるとか執行猶予中である等の不利な事情がない限り、実刑を回避できる可能性が高いです。

4 自白・刑事事件の弁護方針

(1)示談をする
横領事件においては、性犯罪等と異なり、被害者側に示談交渉そのものを拒否されることはまずありません。示談金については被害金額をベースとして交渉することになるでしょう。業務上横領のケースでは、会社としても横領の事実が公になることは避けたいとの判断から、示談が成立すれば警察に被害の申告がなされず、そもそも刑事事件とならない場合も少なくありません。
示談交渉に入る前に逮捕されてしまったとしても、その後に示談が成立すれば、被害金額が多額であるとか前科がある等の不利な事情がない限り、不起訴となる可能性が高まります。検察官は起訴するか否かの判断するにあたり、示談の成否を非常に重視しているからです。

(2)被害者に謝罪する
被害者にお会いしたり、手紙をお送りして謝罪します。通り一遍のことを述べるのではなく、自分の言葉で謝罪することが重要です。

(3)環境を改善する
横領した金銭で多額のブランド品を購入したり、ギャンブルに興じるなど生活の乱れが事件の背景にある場合は、抜本的な生活環境の改善が必要となってくるでしょう。買物依存やギャンブル依存がある場合はカウンセリングを受けていただきます。借金問題が事件の原因になっている場合は、弁護士が別途委任を受けて債務整理を行います。いずれにせよ生活環境を立て直すためにはご家族の協力が不可欠です。ご家族には日常生活の中で本人を監督してもらいます。
⇒ 公判請求されたら…
本人を監督する旨の誓約書をご家族に書いてもらい証拠として提出します。また、情状証人として、裁判官の前で、本人の更生をどのようにサポートしていくのかを語ってもらいます。

5 否認・刑事事件の弁護方針

(1)横領罪の成立要件を検討する
単純横領罪及び業務上横領罪が成立するためには、(業務上)委託に基づいて占有している他人の物を違法に取得したことが必要です。そのため、①委託があったのか、②本人が目的物を占有していたのか、③目的物は「他人の物」といえるのか(本人の物と考える余地はないか)、④目的物を違法に取得したのか(委託者のためにする意思はなかったのか)といった点について一つ一つ検討し、横領罪の成立要件を満たしていないと考えられる場合、その点を検察官や裁判官に指摘します。

(2)被害者側の言い分を検討する
業務上横領罪の多くは、被害届の提出、告訴など被害者側のアクションをきっかけとして捜査が始まります。既に被害者が民事訴訟を提起していることも少なくありません。なかには会社内部の権力闘争や民事訴訟を有利に運ぼうとして、相手を告訴する者もいます。そのため、横領事件においては、被害者側の言っていることが本当か否かを慎重に吟味する必要があります。
人間の記憶は時の経過とともに衰えていくものですが、取調べが進むにしたがって、被害者側の供述がより詳しくなっていくということがあります。また、異なる時点で作成された複数の供述調書の間で、同一の場面についての供述内容が不自然に変化していることもあります。これらは被害者側の恣意的な態度を強く示唆するものです。弁護士が被害者側の供述調書を検討したり反対尋問を行うことによって、これらの不合理な変遷を炙り出します。

業務上横領の刑事弁護は仙台の弁護士におまかせください。