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傷害罪の刑事弁護方針

1 傷害の意図は必要か

傷害罪が成立するためには、暴行する意図があれば足り、けがをさせる意図までは必要ありません。つまり、「けがをさせるつもりはなく軽い気持ちで人に暴力を加えたが、結果的にけがさせてしまった」という場合も、傷害罪が成立します。

2 他の犯罪との関係

傷害罪の刑期は5年以下の懲役または50万円以下の罰金(刑法204条)です。他方,殺意があって人を傷つけたが、死亡には至らなかった場合、傷害罪ではなく殺人未遂罪が成立します(死刑または無期もしくは5年以上の懲役)。
殺意なく人を傷つけ、結果的に死亡させた場合は、傷害致死罪(懲役3年~20年)が成立します。過失によって人を傷つけた場合は、過失傷害罪(30万円以下の罰金または科料)が成立します。過失傷害罪は告訴がなければ起訴することができません。
動物を傷つけた場合は、器物損壊罪(3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料)、動物愛護法違反(2年以下の懲役または200万円以下の罰金)が成立し得ます。

3 自白・刑事事件の弁護方針

(1)示談をする
被疑者を起訴するか否かを決めるのは検察官です。検察官は、傷害事件の被疑者について起訴するか否かを決めるにあたり、示談の成否を非常に重視しています。そのため、被害者との間で示談が成立すれば、不起訴になる可能性が高まります。示談を締結する前に起訴されたとしても、その後に示談が成立すれば、執行猶予になる可能性が高まります。裁判官も刑罰の重さを判断するにあたり、示談の成否を非常に重視しているからです。

(2)被害者に謝罪する
被害者とお会いしたり、手紙をお送りして謝罪します。通り一遍のことを述べるのではなく、自分の言葉で心をこめて謝罪することが重要です。
⇒前科のつかない不起訴処分を獲得するために…
本人作成の謝罪文の写しを検察官に提出します。また、検察官の前で被害者への謝罪・反省の気持ちを直接語ってもらいます。

(3)環境を改善する
飲酒絡みで傷害事件を起こした場合、自身の飲酒癖をどのようにコントロールしていくかを考えてもらいます。不良交友による荒れた生活が事件の背景にある場合は、交友関係の見直しを含めた生活環境の改善が必要となるでしょう。いずれにせよ生活環境を立て直すためにはご家族の協力が不可欠です。ご家族には日常生活の中で本人を監督してもらいます。
⇒ 前科のつかない不起訴処分を獲得するために…
本人を監督する旨の誓約書をご家族に書いてもらい検察官に提出します。その他の証拠資料として、移転先の住民票(家族と同居するために引っ越した場合)、断酒プログラムの修了証(飲酒絡みで事件を起こした場合)などがあります。

4 否認・刑事事件の弁護方針

(1)「酒に酔っていて覚えていない」という主張は通用する?
「被害者がけがをした事実」は、被疑者が覚えているかどうかとは関係なく、医師が作成した診断書によって証明されます。また、「被疑者が被害者を暴行した事実」も、現場の防犯カメラや被害者・目撃者の供述調書によって固められてしまいます。
「酔っていて覚えていない」という主張を続けて不起訴処分あるいは無罪判決を獲得するのは困難でしょう。かえって検察官や裁判官に「反省していない」と思われ裏目に出ることも少なくありません。断じてこのような主張を継続することはお勧めしません。

(2)正当防衛を主張する
最初に相手の方から殴りかかってきたり、凶器を使って攻撃してきた場合は、相手にけがをさせても正当防衛により無罪となる余地があります。弁護士がご本人から事情を聴取し、正当防衛を裏付ける事情があれば、不起訴処分あるいは無罪判決の獲得を目指します。

(3)傷害の共謀がないことを主張する
傷害の共犯事件において、現場にたまたま居合わせたものの暴行には一切関与していない場合、暴行した人間との共謀が認められなければ傷害罪は成立しません。弁護士がご本人から事情を聴取し、事前の打合せへの参加など共謀を裏付ける事情がなければ、不起訴訴処分あるいは無罪判決の獲得を目指します。

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