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強制性交等罪の刑事弁護方針など

1 法改正について

強姦罪は刑法改正により強制性交等罪と改称されました。改正刑法が施行された平成29年7月13日より前に発生した事件については強姦罪が適用されます。平成29年7月13日以降に発生した事件については強制性交等罪が適用されます。刑法改正前は強姦罪で起訴するためには被害者の告訴が必要でした。しかし、改正後の強制性交等罪については、起訴にあたって被害者の告訴は不要とされました。そのため、告訴がなくても起訴できるようになりました。 改正刑法が施行されたのは平成29年7月13日ですが、それ以前の強姦罪が適用される事件についても、さかのぼって告訴が不要となりました。

2 強姦の際に怪我をさせた場合

強姦・強制性交等の際、被害者にけがをさせると強姦致傷罪・強制性交等致傷罪が成立します。意識的に暴行してけがをさせるというのが典型的なケースですが、本人が暴行したつもりは全くないのに強姦致傷・強制性交等致傷で立件されることがあります。それが膣壁裂傷や肛門裂傷の場合です。男性器を膣や肛門に挿入した際、摩擦で裂傷が生じることがあります。その場合、被害者が警察に医師の診断書を提出すると強姦致傷・強制性交等致傷として立件されます。
強姦致傷・強制性交等致傷で起訴された場合は、裁判員裁判で審理されることになります。裁判員裁判では、性犯罪は重く処罰される傾向があり、強姦致傷・強制性交等致傷罪の場合、初犯の方でも長期の実刑となることが多いでしょう。ただ、裂傷の程度が全治数日など軽い場合は、起訴前に示談が成立すれば、不起訴となる余地も十分にあるでしょう。容疑を認める場合は一刻も早く示談に向けて動いた方がよいでしょう。

3 余罪

逮捕された強姦・強制性交等とは別に、強姦等の余罪があると、再逮捕されたり追起訴(ある事件で起訴された後に別の事件で起訴されること)される可能性があります。余罪の現場に遺留されたDNAと被疑者のDNAが一致すれば、余罪で再逮捕される可能性が極めて高くなります。
DNAが遺留されていない場合は、余罪取調べにどのように対応するかが非常に重要になります。適切に対応しなければ、1件目の強姦(強制性交等)で示談が成立して釈放された当日に、別件で再逮捕されることにもなりかねません。逮捕直後から、弁護士が余罪を含め総合的な弁護方針をたてるべきです。

4 自白・刑事事件の場合の方針

(1)示談をする
起訴前の弁護活動としては示談が最も重要です。刑法改正により、強姦にせよ強制性交等にせよ、起訴にあたって告訴が不要とされました。そのため、改正法施行前のように示談をして告訴を取り下げてもらえれば必ず不起訴になるわけではありません。
もっとも、強制性交等罪で告訴が不要とされたことに伴い、起訴を望まない被害者の意思が軽視されるのではないかとの懸念も根強く、検察官はこれまで以上に、被害者が起訴を求めているか否かを丁寧に確認すると思われます。
そのため、示談書に「処罰をもとめない」、「起訴を求めない」等の文言があり被害者がその意味を十分に理解した上で示談に応じた場合は、性犯罪の前科がある等の事情がない限り、不起訴になる余地は十分にあるといえるでしょう。
強姦の被害者は、事件によって非常に大きなショックを受けています。弁護士には、交渉全般を通じて、被害者の心情に細やかに配慮する姿勢が強く求められます。
法律上、検察官は逮捕の約3週間後に、被疑者を起訴するか釈放するかを決めなくてはなりません。したがって、不起訴を獲得するためには、3週間以内に示談をまとめることが必要です。時間切れにならないよう、土日や夜間でも精力的に動いてくれる弁護士に依頼すべきです。

(2)専門家の援助を受ける
強姦・強制性交等の加害者のなかには、自己の性的衝動をコントロールすることができず、性的な逸脱行動を繰り返してきた人が少なからずいます。そのような方に対しては、専門家の治療が必要です。カウンセリングを受けたり、クリニックに通うことによって、問題を根本から改善する必要があります。身柄拘束されている場合、出張カウンセリングサービスを利用することもあります。
⇒ 不起訴を獲得するために…
弁護士が、受診証明書や医師・カウンセラーの意見書等を検察官に提出します。

3)反省を促す
性犯罪被害者の本を読む等して、自らしてしまったことの重大さを自覚してもらいます。さらに、強姦・強制性交等をしてしまった原因を分析し、更生するにはどうすればよいのかをじっくり考えてもらいます。性依存症の方を対象とした自助グループに参加して内省を深めてもらうこともあります。
⇒不起訴を獲得するために…
弁護士が本人作成の反省文を検察官に提出します。また、検察官の前で現在の心境を直接語ってもらいます。

(4)被害者と関わらない
被害者は、「警察に被害を申告したことを逆恨みされるのではないか?」と強い恐怖感を抱いています。被害者の恐怖感をできるだけ軽減するため、加害者としては、今後、被害者と一切接触しないようにすべきです。弁護士を通じてその点を強調するとともに、示談書の中に、「加害者は今後一切、被害者に接触しない」等と明記し、可能な限り被害者の不安を軽減します。
⇒不起訴を獲得するために…
被害者に接触しないことを明記した示談書や本人作成の誓約書を検察官に提出します。

(5)転居費用を負担する
住居に侵入したり、被害者の自宅近くで強姦・強制性交等を行った場合、被害者は加害者に対して強い恐怖感を持っています。事件をきっかけとして被害者が転居を希望する場合は、可能であれば転居費用を負担することも検討する必要があるでしょう。
⇒ 不起訴を獲得するために…
転居費用の領収証を検察官に提出します。

5 否認・刑事事件の場合

(1)身に覚えがない場合
全く身に覚えがないにもかかわらず、強姦の容疑をかけられてしまった場合、アリバイ事実が存在することを弁護士が検察官・裁判官に主張し、不起訴処分あるいは無罪判決の獲得を目指します。捜査機関によってDNA鑑定、血液鑑定が実施されている場合は、改めて専門家に鑑定を依頼したり、裁判所に対して鑑定を実施するよう請求します。

(2)性行為について相手の同意があった場合
相手の同意があったにもかかわらず、強姦の容疑をかけられてしまった場合、本人と相手の関係、当日出会うまでの状況、出会ってから性行為までのやりとり、性行為後の相手の言動等から、和姦であることを主張します。

強制性行罪の刑事弁護は仙台の弁護士におまかせください。